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体脂肪蓄積

◇エネルギーの貯蔵
動植物において、脂質は不溶性のトリアシルグリセロール(TG)の形で大量に蓄えられ、細胞がエネルギーを必要とする時すみやかに動員され、分解してエネルギーを供給します。
 
動物細胞ではエネルギーは主として脂質分子として貯蔵されます。動物が大量に蓄えうるのは脂質だけで、エネルギー摂取量が消費量を上回ると超過分は必ず脂肪として蓄えられます。(エネルギーの消費量の中には排泄によるものも含まれます。) 
 
糖質はグリコーゲンとして貯蔵されますが、その量は極めて少なく、肝臓でも全重量の5-6%。骨格筋ではわずか0.4-0.6%です。
 
タンパク質は生物学的な意味が糖質や脂質と異なり、生体のタンパク合成に必要な20種類のアミノ酸を供給し、またプリン、ピリミジン等窒素化合物の合成に必要な骨格として用いられます。成長の止まった成人では窒素の排泄量は摂取量に等しく、余分に食べたタンパク質は貯蔵されません。
 
ダイエットを成功させるためには、脂質の摂取量を減らすのではなく、体内での脂質の動きを盛んにした上で、蓄積される脂肪よりも、消費される脂肪が多い状態にもっていくことが大切です。このことによって、体脂肪を落としていくことができるからです。ここでは、体脂肪の蓄積と分解のメカニズムについて説明します。
 
◇脂質の消化と吸収
食べ物に含まれる動植物のトリアシルグリセロール(TG)は、小腸で遊離脂肪酸とモノアシルグリセロール(MG)に分解されます。遊離脂肪酸とMGと残存TGは小腸上皮細胞に吸収され酵素作用を受けます。そして、新たに合成されたTG、リン脂質、摂取したコレステロール、タンパクが組み合わさりキロミクロンとして小腸のリンパ管に分泌されます。
 
キロミクロンは小腸リンパ管からリンパ管系に入り血管に乳液状で分泌され、エネルギーが足りている時には脂肪組織に運ばれて脂肪として貯蔵されます。しかし、食餌不足で貯蔵に回せない時は、骨格筋、心筋、肝臓で消費されます。キロミクロンを利用するには、まず、加水分解しなければなりません。この分解に関与するのがリポプロテインリパーゼという酵素です。
 
リポプロテインリパーゼは、エネルギーが足りている時には脂肪組織でキロミクロンから脂肪酸を遊離して取りこみます。反対に飢餓時には脂肪組織では利用されず、エネルギーの必要な骨格筋、肝臓、心筋組織で利用されます。
 
◇脂肪組織への蓄積
脂肪組織に入った脂肪酸はトリアシルグリセロールに変わります。脂肪細胞では99%がトリアシルグリセロールです。脂肪細胞はエネルギー貯蔵庫としての役割を持ちます。人では、皮下組織(肥満した女性で目立つ)、筋肉、腸間膜組織(肥満した男性で目立つ)に脂肪が沈着します。
 
脂肪は沈着したままでなく、絶えず溶出と沈着を繰り返します。一般に、脂肪量は食欲という調節機構でかなり長期間一定に保たれます。
 
脂肪細胞からの脂肪酸のその後の移動、あるいは遊離は、代謝の必要性に依存し、血中のホルモンにより調節されます。食事をした時はインスリン濃度が高くなるので、トリアシルグリセロールの加水分解は阻害されています。しかし、インスリンによる脂肪酸遊離の阻害過程はよくわかっていません。


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